深部静脈血栓症(DVT)

サック
サック

こんにちわ。DVTのことをわかりやすく説明していきいます

★深部静脈血栓症(DVT)とは

DVTとは深部静脈血栓症〈deep:深い、vein:静脈、thrombosis:血栓症〉のことです。

四肢または骨盤の深部静脈の中の血液が固まり、血栓ができ、深部静脈の内腔を塞いでしまった状態です。DVTは上肢に生じることは少なく,大部分が下肢に発生します。

DVTは肺血栓塞栓症〈pulmonary thromboembolism〉の原因となります。

★原因

血栓形成の要因には

  • 長期臥床、脱水、妊娠、長時間の座位などによる血流停滞
  • 手術や外傷などによる血管内障害
  • 炎症、脱水やガンなどによる血液凝固能の亢進

などが関係している

★病態

  • 血栓ができ、深部静脈の内腔を塞いでしまい、静脈うっ滞(血流の停滞)が起こる
  • 深部静脈にできた血栓が血液の流れで静脈系および右心内を通過し、肺動脈に詰まることで肺塞栓症を引き起こす
  • 下肢の静脈還流が阻害され、かつ側副血行路の静脈まで閉塞し、末梢組織圧上昇させ、動脈還流異常を伴うものを有痛性青股腫(phlegma-sia cerulea dolens:PCD)と呼ぶ
  • 有痛性青股腫が、動脈の血行障害引き起こし、 下肢の壊死を生じることもある

★症状

  • 血栓ができた静脈の周囲の炎症や静脈うっ滞(血流などの停滞)により、疼痛、腫脹、浮腫、発赤、熱感、皮膚の色調変化(暗赤色)の症状が出現する
  • 有痛性青股腫では下肢に高度な血行障害とチアノーゼを呈し,激しい疼痛と高度な腫脹を呈する

★検査・診断

血液検査(Dダイマー)

Dダイマーが陽性であるとDVTを疑う

下肢静脈超音波検査(下肢エコー)

足の静脈の血栓有無、血栓の性状を調べることができる

造影CT検査

  • 重症度の高い下大静脈、腸骨静脈、大腿静脈、膝窩静脈の中枢型 DVT の診断に優れている、かつ、肺塞栓症(PTE) の有無も同時に調べることができる。そのため、PTE が疑われる場合には造影 CT は下肢静脈エコーより優先して施行される
  • 超音波検査で結論が出なかった場合にも行うことがある

★治療

抗凝固療法

  • 点滴:ヘパリン
  • 内服:ワーファリン、DOAC(リクシアナ・イグザレルト・エリキュース)

下大静脈フィルター留置術

  • 腹部の大きな静脈にフィルターを留置し、下肢から移動する大きな血栓が肺へ行かないようにする
  • 抗凝固薬の禁忌がある下肢DVTの患者と十分な抗凝固療法にもかかわらず再発性DVT(または塞栓)がみられた患者では,PEの予防にIVCフィルターが有用

カテーテル血栓溶解療法

  • 血栓局在部位に直接的に高濃度の溶解液を投与することが可能なカテーテル血栓溶解療法
  • 広範な静脈の血栓性閉塞とうっ血から重篤なチアノーゼをきたし,コンパートメント症候群,静脈性壊死,下肢切断のリスクのある有痛性青股腫に有用
  • 腸骨大腿静脈領域のDVT,症状発現から14日未満の急性血栓,良好な身体機能,1年以上の生命予後,出血リスクの低い患者に検討される

外科的血栓摘除手術

  • 中枢型で腫脹の強い場合や、有痛性青股腫を合併した場合に早期合併症を軽減することができる
  • カテーテルアクセスができない、血栓溶解が不成功・不十分、あるいは抗凝固療法が禁忌(妊婦、術後患者、外傷患者など)の場合に検討される
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